椎名林檎と『木綿のハンカチーフ』
最近まで知らなかったのですが、今月の1日に阿久悠さんが亡くなりました。
歌いだしからトリッキーな言葉を巧みに操り、個性的な短いフレーズながら
強烈なインパクトの歌詞で、昭和の歌謡界を圧巻した作詞家さんですね。
その阿久悠作品のフレーズは、強く印象に残り、まるでコピーライターのよう。
昭和の時代を過ごした、30代以上の人で阿久悠作品を知らない人はいないのでは?
またひとつ『昭和』が終わった気がして、喪失感を感じる訃報です。
慎んでご冥福をお祈り致します。
同じく昭和を代表する作詞家に、松本隆さんがいます。
阿久悠さんとは違って、丁寧に言葉を積み上げて、独特な比喩的表現で飾られた
歌詞は、全体から構築される風景や場面を連想させ、映像がうかぶのが松本作品。
繊細な歌詞は淡色の水彩画のよう。
「強いインパクト」「全体の造形美」とタイプは違いますが間違いなく、
昭和を代表する技巧的な、作詞家の双璧でしょう。
そしてゴールデンコンビと言われた、作詩:松本隆、作曲:筒美京平の代表作に
歌謡曲・フォーク・ニューミュージックの橋渡し的な存在の太田裕美の歌った
「木綿のハンカチーフ」があります。
都会に出ていき華やかな都会の波に飲み込まれてしまった男性と、
田舎に残った健気な女性の心情を交互に語る歌詞は新鮮に感じました。
バービーボーイズも大好きなのですが、彼らの楽曲も大半が男女の掛け合い
わいはこの構図が好きなのかも?(笑)
現在のJポップにて、ここまでちゃんとストーリー性を持たせて、
微妙な人間模様まで推測させる曲は無いじゃろう…。
まあ遠距離恋愛と言っても、時代背景が違うからこのままの歌詞では
説得力も無いのでしょうがねぇ。ヾ( 〃∇〃)ツ
そして長い前置きが、やっと終わり今回のエントリのタイトルです。(;^_^A
『木綿のハンカチーフ』椎名林檎 With 松崎ナオ
おそらくコアな林檎ファンしか知らないでしょうが…。
この名曲を椎名林檎がカバーしています。
彼女は「東京事変」のライブで、バービーボーイズの「C'm'on Let's go!」を
カバーしたり、カバーアルバムをリリースし、「木綿のハンカチーフ」を含む
複数の楽曲をカバーしています。
なかでも『木綿のハンカチーフ』は、ずば抜けて素晴らしいと思う♪
ハードなリフのロックをバックに、女性の心情をサラリと歌っています。
ほとんどメロディーラインは崩していないのに、受ける印象がまったく違う。
原曲の太田裕美は、やや舌っ足らずの歌い方で、柔らかでハスキーな裏声が
心地よく、爽やかな印象で[青春のホロ苦い思い出の1ページ]を連想させる。
男女の想いの交錯した歌詞を一人で歌わせたら、太田裕美は上手いっすわ。
イントロ部の弦のアレンジも素敵です♪
カバーでは男性パートを椎名林檎、女性パートが松崎ナオです。
勝手な男の気持をサラリと歌い、健気な女性の気持を情感を込めて歌う。
「今も素顔で、口紅も付けないままか?」なんて皮肉めいた歌詞も
椎名林檎が歌うと、よりきわだって聞こえてくるから不思議…。
曲の最後で「恋人よ」「いいえ」を繰り返すところも好きですわ。
男性の「恋人よ」は、徐々に音色が変化していくんじゃけど、
一方で女性の「いいえ」は不変なんですわ。
わがままな男が、華やかな都会で変わっていくサマが感じられます。
そして最後の「いいえ」は、ないんですねぇ。
凄く意味深…。ヾ( 〃∇〃)ツ
巻き舌な感じを含めて、林檎らしさが強く感じられるお気に入りの一曲です。
ヾ(〃^∇^)ノ♪
今宵は、ほぼエンドレスでリフレインしながら書いてます。(爆)
阿久悠さんからの、ひとり連想ゲームの着地点は、なぜか「椎名林檎」なのが
せなっち♪クオリティ~。ヾ(〃^∇^)ノ♪
さらに椎名林檎は、平成の「戸川純」だよなぁ…。
なんて思ったりもして。(笑)
賛否両論あると思いますが、皆さんはオリジナルとカバーどっちがお好き?
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